NZ圧勝
これで今回は終了しました。
画期的だったのは、エミレーツのヨットが「足こぎ」方式だったことだ。水中翼などを動かすための油圧を供給するシステムは、通常は手で操作するのが主流だ。グラインダーと呼ばれる4人の乗組員がハンドルを手で回す。
米国艇オラクルだけでなく、オラクルへの挑戦権をかけてエミレーツと5月から挑戦艇決定シリーズを戦った日本、英、仏、スウェーデンのヨットもすべて手動だった。
だがエミレーツの4人のグラインダーは、まるで競輪選手のように身をかがめて自転車のペダルのようなものを足でこいだ。本番を控えた4月下旬、記者がバミューダ諸島を訪れた時もエミレーツの「足こぎ」方式はライバルチーム関係者の注目を集めていた。
本番会場での練習で、エミレーツの直進時のスピードは群を抜いているように見えた。手でハンドルを回すよりも、自転車のペダル状のものを足でこいだ方が、より大きな力を得られるのは、素人には当然のように思える。
だが、ヨットレースは直進だけすればいいのではなく、急なターンも求められる。ヨットの方向を変える時、ヨットの重心を変えるために、4人のグラインダーは一斉にヨットの右側から左側(またはその逆)に飛び移るように移動しなければならない。「足こぎ方式だと、こうした動作が遅れがちになるだろうし、必ずしも有利とはいえない」というのが各チーム関係者の大方の見方だった。
だがエミレーツは、挑戦艇決定シリーズの準決勝で、前評判の高かった英国艇を5勝2敗で退けた。日本艇「ソフトバンク・チーム・ジャパン」を準決勝で下したスウェーデン艇との決勝も5勝2敗で切り抜け、今回のア杯本戦では米国艇オラクルに圧勝した。
「空力やハイドロシステムなど各チームが技術を総動員する戦い。各チームとも企業秘密の技術もある」。本番レース前、ある大会関係者は説明してくれた。もちろんエミレーツには「足こぎ」のほかにもたくさんの高い技術が詰まっていたのだろうし、ボートとは違い、こぐことが艇の推進力に直接つながるわけではない。ただ、唯一足こぎに変えたチームが圧勝するという、あまりにも劇的なフィナーレとなった。
第35回アメリカスカップが終了しました。
ファイナルマッチは7勝1敗という圧倒的な成績で米国の防衛艇を制した挑戦艇ニュージーランドがカップ奪還に成功しました。
これにより、アメリカスカップはニュージーランドに渡ります。
防衛国の敗退により次回大会の要項が大きく変わると予測されます。
何時、何処でどのようなヨットで大会が行われるか、今後の発表を待たなければなりません。
次回36回大会の要項を踏まえた上でチームの存続に向け引き続き奮励して行きます。
ソフトバンクチーム
早福 和彦
早福 和彦
.
.
.
.
.
クラブハウス